冬の朝は寒い。
物がない部屋だから尚更そう思う。
携帯のアラームが五月蠅い。
獄寺はそれを止めるために布団から手を伸ばすが、空気の冷たさから直ぐに引っ込めた。
ああ、早く十代目を迎えに行かなくては。
心は既に敬愛する主の元にあるというのに、体が動かない。
布団からどうにかして起き上がったとしてもフローリングの床が裸足の足に刺さる筈だ。
覚悟を決める為に数分、布団の中で丸まった。
ふと、頭上で鳴り響いていたアラームが止まった。
「起きろ、獄寺」
ぱし、と布団の上から叩かれる。
慌てて獄寺は布団から顔を出す。
「り、ボーンさん…」
小さなヒットマンはニヒルな笑みを浮かべて、まだ覚醒しきっていない獄寺に瞳を向ける。
その頬に小さな口付けを落とせば、白い肌が真っ赤に変わっていく。
なんて面白い。
「おはよう、獄寺」
「おはよう、ございます…」
タイマーでセットしてあった珈琲が出来あがった音を遠くで聞いた。
モーニング・コーヒー(1月・リボーン)