■護りたかったもの


眼前に広がるは異世界。
分かる事は、自分が窮地に立たされたという事実。
目の前の不愉快な男は訳のわからない御託を並べた。

ただ、そこらの記憶は曖昧。

しかし鮮明に目の前の事態は展開する。
一瞬にしてそれはチカラを無くしたけれども。

覚醒を促すいつもの声がした。
傷だらけで、血まみれの君の顔がいつものように歪んで。
ようやく世界は色付いた。
いつものように僕の名を呼んでくれと願った刹那、君が倒れてしまったから。


護られた、と知った。


脳の奥でなにかが弾けた音が、した。


2008/09/16



design by croix