■【今日の1859】「裏腹」
昼寝から起こされただけでも機嫌が悪いというのに、そのメールの内容にさらに機嫌が悪くなった。
頭ががんがんする。
動きたくない。でも、足は動いた。
応接室から屋上にいくのは面倒だ。
いつもならば呼び出しをかけるのは僕の方なのに、なんだというのか。
「どういうこと?」
青空の下で煌く銀に怒りをぶつけた。
まずは始めに威嚇と、トンファーを彼の足元に突き立ててみるけれども、彼は面白そうに笑うだけ。
馬鹿にしているのか。
あいにく僕は優しくないんだ。
「あまり調子にのらないでよ」
君に少しだけ視線を向けたのは、ただの好奇心だよ。
孤独を知っているはずなのに、孤独が一番似合うというのに群れる銀に、
強いくせに弱くみせようとする周到さに、少しだけ興味がわいたんだ。
だから僕と一緒にいる空間を許したというのに。
それ以外の何物でもないのに。
彼の瞳はあまりに深い碧で僕を射抜く。
振るわれたトンファーを避けないで、その顔面で受け止めたくせに。
「なあ、雲雀。本当は気付いているんだろ?」
やめてくれ。
気付かせないでくれ。
そうすれば、このままでいられるのに。
「お前、俺の事…」
「それ以上言ったら、咬み殺すっ」
喉を裂くように叫んだ。
まるで自分の声じゃないみたいだ。
それでも、僕の願いは届かない。
「俺のこと、 」
ああ、獄寺。
そうだよ、僕は君の事がー。
気付かなければこれ以上進むことはなかったというのに。
それでもこの先にある闇が温かく微笑んでいるのが見えた。
そしてようやく、僕は彼とこうなることを怖がっていたけれども、それでもその先に進むことを望んでいたことを知る。
それが、僕の弱点となるとわかっていたけれども。
2009/04/04