■はんぶんこ
「この男には借りがあるからね」
つくづく自分は素直に言葉を吐けないと思った。
間近で見た君の顔には無数の怪我。
君は一体どれだけの苦しみをこの細い背に背負ってきたんだい?
傷なんかひとつもつけたくなかった。
ずっと側にいてやればよかった。
そんな事は不可能だと知っていたけれども。
せめて
この肩に乗った重みのように
君の苦しみを半分でもわけて貰えればと願った。
布越しに伝わる鼓動が
あまりに懐かしくて
泣きたくなった。
2008/09/29