■ABC(3)


頭の奥が痺れるくらい濃厚なキスをした後、太一はヤマトの細い腰に手を回す。
服の中に手を忍ばせ、白い肌を堪能する。
自分で誘った事に対してか、これからしようとしていることに対してか、
頬を赤く染め太一から視線をそらすヤマトを無理矢理自分に向けさせると再度唇を奪う。

「太一、ここじゃヤダ…部屋、いこ」

フローリングの板は体を痛めるし、玄関という構造上、万が一裕明が帰ってきたときにつくろうことができなくなってしまう。
ヤマトはそれを恐れてここで事を成そうとしている太一を自分の部屋へと誘った。

「おじさん今日かえってくるの?」
「いや、泊まりだけどもしかしたらだから」

ヤマトの提案を受け入れ、熱の冷めないまま部屋へと移動する際に交わす言葉はこれから自分達がなにをしようとしているのかを再認識させ、太一の鼓動を速くさせる。
ヤマトはコンロの火を消し、鍋には蓋をした後、太一が開け放して待っている部屋へと足を進める。
自分をリードする太一の顔がいつも以上に大人っぽくなっていてヤマトは胸を高鳴らせる。
ヤマトはけして男が好きなわけでもないし、ましてや抱かれるなんて嫌悪するくらいだ。
しかし、相手が太一だから、こうゆう行為にも胸を高鳴らせ、待っている自分がいる。
それにふと気が付くと自分がどれだけ太一の事が好きなのかを認識させられて頬をさらに赤く染める。

「本当に、いいのか?」

ベッドに浅く腰掛けるとヤマトの金の髪に指を通しながら太一が再度確認をとる。
遠慮している太一にふっと笑うとヤマトは後ろに倒れ、青い瞳で太一を誘う。

「いまさらなんだよ、早くこい」

白いシーツにぱらぱらと金が散り、シャツから見える肌の白さに気が遠くなるくらいの欲望を感じて太一はヤマトにのしかかる。
軽いキスをひとつ落とすと太一はヤマトのシャツのボタンをひとつずつはずしていく。
その手元をみながらヤマトの顔は真っ赤になっていく。

「ヤマトの肌きれー」

ボタンがひとつはずされるたびに見えてくる白に太一は高ぶり、その鎖骨に赤い所有印をいくつも落とす。
太一の唇が肌にふれるたびにヤマトは切ない声をあげる。いつもより少し高いその声はさらに太一を煽る。
太一は右の胸の突起に舌を這わせ左のそれを指で潰す。
途端、ヤマトの口から喘ぎがもれる。

「ここ感じる?」
「あっ…な、にこれぇ」

自分の体に走る衝撃に驚きを隠せないヤマトは先ほどの勢いはどうしたのか、太一のされるがままになっている。
太一はヤマトの口から零れる声に魅了される。
もっとききたい。
もっと自分の手でヤマトを狂わせたい。
太一は無我夢中で胸の赤くぷっくりと立ち上がった小さい実を舌と手で愛撫する。
そのたびにヤマトの口からは甘い声がもれる。

「ひあっ…たいちぃ…あぁっ」

青い宝石に雫を溜めて、白い肌を上気させてヤマトは太一にすがる。
太一はヤマトの口に舌をいれ、口内を犯した後に右手をヤマトの中心に滑らせる。
太一の舌の動きにあわせて同じように舌を絡ませていたヤマトはさすがにぎょっとしたのか太一の手を掴む。

「気持ち悪くないのかよっ」
「は?」

自分と同じものがついているのに、ましてやその部分をいじるなど。
太一は意地悪い笑みを浮かべて軽いキスをヤマトに落とす。

「ヤマトは綺麗。そんなヤマトのを触れるなんてちょー幸せ」

熟れたトマトのように赤くなったヤマトの制服のズボンのファスナーを器用に下ろすと太一はヤマト自身を指でなぞる。
さきほどの愛撫でゆるゆると勃ち上がっているそれをみて口元に弧を描かせる。

「そんな…みるなよっ」
「なんで。ヤマトのここかーわいい」
「なっ…あぁっ」

先ほどとは比べられないくらいの直接的な快感にヤマトの背中が弧を描く。ヤマトの羞恥心をかきたてるかのように太一はヤマト自身を口にくわえる。

「やめろっ汚いってっ」
「お前に汚いとこなんてねぇよ」

拙い舌使いだが、今まで自分で欲望を吐き出すことなどあまりしたことがないヤマトにとってちょっとの刺激でも大きな快楽へと変わっていく。
ヤマト自身はすでに限界が近いのかはちきれんばかりに膨れ上がっている。
生理的な涙を瞳にうかべ、熱にうかされながら切ない吐息をもらす。

「あぁっ…たい、ちっ、もォでるぅ…っ…離してっ」
「出しちゃえよ、飲んでやるからさ」
「ちょっ、いや…っあぁぁっ」

自分の欲望を飲まれる事に大きな抵抗があったヤマトだったが、太一の与える快楽にに体は従順に従い、その欲を吐き出した。
一瞬世界が真っ白になり、思考が停止した。
色を取り戻しはじめた世界でヤマトの目に映ったのは満足そうな笑みを浮かべて自分を見下ろす太一の顔。
温かな気持ちになったのもつかの間で先ほど太一にさせてしまったことを思い出すと朱に染まった。

「あんま美味しくねーけどヤマトのならいける」
「ばかっなんでそーゆー風に…」
「今度は俺を気持ちよくさせてよ」

にやりと太一は笑うと、なにをしたらいいのかわからないという顔をするヤマトのズボンを下着と共に全て引きおろす。
自分の指をヤマトの口もとに持っていくと強引に突っ込み、唾液を絡ませていく。

「んうっ…はぁ…」

従順にヤマトはその指を丁寧に舐めあげ、太一を煽る。
閉じた瞳にかぶる長い睫毛が揺れる。頬に朱が走る。
太一自身が早くヤマトの中に入って果てたいという欲を押さえられなくなるくらいだ。
それでも初めてでもあるわけだからとなけなしの理性を総動員し、ヤマトの唾液でべたべたになった指をヤマトの蕾へと押し当てる。
想像はしていたが、生々しく、自分でも触れたことがないそこをふれられることに驚いたヤマトを優しいキスでなだめながら慎重に慎重に一本ずついれていく。

「どう?痛くない?」
「ない…、でも、変な感じっ」

もともと受け入れるところではないそこに、覚えの無い違和感を感じヤマトは圧迫感に困惑を浮かべていた。
太一はあいている左手でヤマトの胸の突起をいじったり、キスをいくつもおくったりしながらどうにかしてヤマトにかかる負担を軽くしようと努力する。
太一の指がヤマトの中のある一点を擦った瞬間、ヤマトの体が跳ね上がり、甘い声がもれた。

「感じる?」
「ひぁっいやぁ…変なの…き、もちい…」

太一はその一点を集中的に擦り、ヤマトに快楽を知らせる声を絶え間なくあげさせる。
同時に胸の実を吸い、ヤマト自身もしごきあげ、蕾に二本目の指をいれてなれさせる。
先ほど欲を吐いたヤマト自身は再びゆるゆると勃ちあがり、快楽を感じている事をしらせる。

「なあヤマト、いいか?」

そろそろ限界が近い太一は余裕のない声でヤマトに問う。
すでに後ろには三本の指が入り、欲望で大きくなっているヤマトは白い肌に赤い華を散らされて壊れたかのように何度も頷いた。
太一ははちきれんばかりに大きくなった自身を、ヤマトにあてがう。

「ひっ…いあああぁぁぁ!」

さすがに最初は痛みがあったのか、青い瞳から雫が一筋零れた。
太一はきゅうきゅう遠慮なく締め付けてくるヤマトに、今まで自分で掻き出していた時なんか感じた事ないくらいの気持ちよさに酔っていた。

「わり、俺よゆーねぇから…動くぞ」
「んっ、はぁ…ひっああああ!!」

最初はゆっくりと、しかし激しく打ち付けられる衝撃にヤマトは言い知れないくらいの快楽を感じていた。
まさか男にいれられてこんなに感じるとは思わなかった。
それは太一であっても痛いだけではないかと思っていたのに、痛みすら気持ちいいと思ってしまうくらいだった。
つながれた部分からぐちゅぐちゅと卑猥な音がして余計ヤマトに差恥を植えつける。
しかし、それ以上に目の前の太一が愛しくて、太一がくれる快楽が気持ちよくて。

「ああっ太一っ、こわして、俺のこともっと壊してぇっ」
「ヤマトっ好きだ、大スキだ!」

激しいキスをして
激しく打ち付けられて
絶頂へと導かれて
二人は同時に果てた。










「かわいーやつ」

激しくしたせいか、初めての重みもあってか果てたあと気絶してしまったヤマトの金に指をとおしながら太一は呟いた。
体をつなげたからか、前以上に愛しく思うその人に優しいキスを1つ落とす。
白い肌には自分がつけた所有印が沢山散らばっているのをみて、太一は満足げに笑みを浮かべる。


『離したら承知しないからな』


付き合う時に言われた言葉に再度返す。

「離せるかよ。こんな好きなんだからさ」

ヤマトの全ては自分のものだから。子供以上の独占欲と大人以上の愛を抱いて。
太一はこの美しい人を大切にしていく決意を再度かためた。
まだ朝には遠い。
もう1つ軽いキスを落として、金をその腕に抱きしめて太一は浅い眠りへとついた。


END


2007/08/12


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